DWG
DWG ファイルは、AutoCADの標準図面ファイルである。AutoCADのリリースによってファイルのバージョンが存在する。DraWinG の略。
CADソフトでの扱いは基本的には上位互換であるため、古いバージョンのファイルをそれ以降のAutoCADで読み込むことは可能である。
逆に上位のDWGフォーマットから下位のDWGフォーマットしか扱えないCADへデータを渡す場合、下位のバージョンで保存をすることで旧バージョンのCADでも読み込み可能なデータになるが、図形タイプの変換やデータの欠損など、何かしら変わる部分があると思ったほうがいい。
特にAutoCAD (R/LT)とAutoCADベースのソリューション製品(Architecture/Electorical/Civil/Mecanical/.etc)でのバージョン間のデータのやり取りは、注意が必要である。
互換CADで作成した DWGファイルを AutoCAD で開く場合
ODAベースのエンジンを利用して作成された DWGファイルを AutoCAD で開くと警告のメッセージウィンドウが表示されとっても邪魔になる。これは dwg にウォーターマーク(透かし)情報が入っていることが原因だが、とある企業との裁判結果により法的に autocad と同じ透かし情報を入れちゃだめと言う事で、決着が付いたので ODAベースのエンジンでdwgを作成するかぎり出てしまうものである。
データ互換的には、Autodesk 謹製の DWGエンジン である、RealDWG を使用した製品から書き出されたdwgファイルでもデータ互換に問題が出る事はあるのでユーザ側から見ると余計なお世話でしかないといえる。
尚、AutoCAD でシステム変数:DWGCHECK を 2 に設定しておくとコマンドラインでのメッセージ表示のみになるのでお薦め。
AutoCADとDWGのバージョン
- AutoCAD Ver1.0 ・・・ DWG R1.0 フォーマット
- AutoCAD Ver1.2 ・・・ DWG R1.2 フォーマット
- AutoCAD Ver1.3 ・・・ DWG R1.2 フォーマット
- AutoCAD Ver1.4 ・・・ DWG R1.4 フォーマット
- AutoCAD Ver2.0(AutoCAD2) ・・・ DWG R2.05 フォーマット - 日本はここから。
- AutoCAD Ver2.1(ADE-3) ・・・ DWG R2.1 フォーマット
- AutoCAD Ver2.5(ADE-3EX) ・・・ DWG R2.5 フォーマット
- AutoCAD Ver2.6(EX-II) ・・・ DWG R2.6 フォーマット- 数値演算コプロセッサ無しで動く最後のバージョン。
- AutoCAD Release 9 ・・・ DWG R9 フォーマット
- AutoCAD Release 10(GX-III) ・・・ DWG R10 フォーマット
- AutoCAD Release 11(GX-5) ・・・ DWG R11 フォーマット
- AutoCAD Release 12(J) ・・・ DWG R11/R12 フォーマット- MAC版終了。
- AutoCAD Release 13(J) ・・・ DWG R13 フォーマット- UNIX、MS-DOS版終了。
- AutoCAD Release 14 ・・・ DWG R14 フォーマット
- AutoCAD 2000 ・・・ DWG 2000 フォーマット
- AutoCAD 2000i ・・・ DWG 2000 フォーマット
- AutoCAD 2002 ・・・ DWG 2000 フォーマット
- AutoCAD 2004 ・・・ DWG 2004 フォーマット
- AutoCAD 2005 ・・・ DWG 2004 フォーマット
- AutoCAD 2006 ・・・ DWG 2004 フォーマット
- AutoCAD 2007 ・・・ DWG 2007 フォーマット
- AutoCAD 2008 ・・・ DWG 2007 フォーマット - 64ビット版登場。
- AutoCAD 2009 ・・・ DWG 2007 フォーマット
- AutoCAD 2010 ・・・ DWG 2010 フォーマット
- AutoCAD 2011 ・・・ DWG 2010 フォーマット - MAC版再登場。
- AutoCAD 2012 ・・・ DWG 2010 フォーマット
- AutoCAD 2013 ・・・ DWG 2013 フォーマット
- AutoCAD 2014 ・・・ DWG 2013 フォーマット
- AutoCAD 2015 ・・・ DWG 2013 フォーマット
- AutoCAD 2016 ・・・ DWG 2013 フォーマット
DWGバージョン
初期のバージョンを除き、dwgファイルの先頭6バイトに内部バージョンが記述されてる。
フォーマットバージョン | 内部バージョン | 製品 | 備考 |
---|---|---|---|
DWG R1.0 | MC0.0 | AutoCAD Ver1.0 | |
DWG R1.2 | AC1.2 | AutoCAD Ver1.2 | |
DWG R1.4 | AC1.40 | AutoCAD Ver1.4 | |
DWG R2.05 | AC1.50 | AutoCAD Ver2.0(AutoCAD2) | |
DWG R2.0 | AC2.10 | AutoCAD Ver2.1 | |
DWG R2.1 | AC2.21 | AutoCAD Ver2.1(ADE-3) | |
DWG R2.1 | AC1001, AC2.22 | AutoCAD Ver2.2 | |
DWG R2.5 | AC1002 | AutoCAD Ver2.5(ADE-3EX) | |
DWG R2.6 | AC1003 | AutoCAD Ver2.6(EX-II) | |
DWG R9 | AC1004 | AutoCAD Release 9 | |
DWG R10 | AC1006 | AutoCAD Release 10(GX-III) | |
DWG R12 | AC1009 | AutoCAD Release 12(J), GX-5 | |
DWG R13 | AC1012 | AutoCAD Release 13(J) | 拡張エンティティ対応 |
DWG R14 | AC1014 | AutoCAD Release 14 | |
DWG 2000 | AC1015 | AutoCAD 2000, 2000i, 2002 | |
DWG 2004 | AC1018 | AutoCAD 2004, 2005, 2006 | シグネチャ埋め込み |
DWG 2007 | AC1021 | AutoCAD 2007, 2008, 2009 | 文字はユニコードに |
DWG 2010 | AC1024 | AutoCAD 2010, 2011, 2012 | |
DWG 2013 | AC1027 | AutoCAD 2013, 2014, 2015, 2016, 2017 | |
DWG 2018? | AC1032? | AutoCAD ?, |
カスタムオブジェクト
AutoCAD の派生製品(特定分野向けパッケージ)で追加されている追加の図形(オブジェクト)。 近年のAutoCADでいうダイナミックブロックのようなものといえば分かりやすいかもしれない。 カスタムオブジェクトはAutoCADとは別に拡張されているため、カスタムオブジェクトが作成された以前の古いバージョンのAutoCADや互換CADで開いた時にProxyデータとして表示されたり、表示されないなどの現象が起こる。(カスタムオブジェクトの定義のされ方による。) AutoCADではそれらを解釈させるためにバージョンによっては Object Enabler というプログラムをインストールする必要がある。 各パッケージの機能と連動する形で拡張されていることが多いため、カスタムオブジェクトで作成されたデータを素のAutoCADなどで編集すると機能と連動した動作をしなくなるなどの影響があるので注意が必要である。
参照:図形の種類